発達凸凹についておすすめの本をレビューします

発達障害は治りますか?レビュー

著:神田橋 條治
¥2,420 (2024/05/19 06:20時点 | Amazon調べ)

タイトル/発達障害は治りますか?
著者/神田橋條治ほか
出版社/花風社

花風社hp

安定の花風社本です。

花風社の本は必要な人に届いてほしいとほんと思う。
何かをよくする時に、
体の外からのアプローチ、
食べ物など中からのアプローチ、
考え方だったり理解して納得することだったり。
それまでを壊して新たに創ることだったり。
全部必要な時もあれば、どれかが必要な時もある。
本人が変わることが必要で、周りが変わることも必要だったりする。
花風社の本は周りが穏やかに変わっていけるきっかけになるんじゃないかな、となんとなく思う。

この本は、
灰谷さんの『人間脳を育てる』に神田橋先生の名前が出てきて読んでみようと思った本です。
そして岩永さんの本も同様に買いました。
この3冊は一緒に読むのがおすすめ。

神田橋先生は精神科の中でカリスマ的で色々な意味で有名な方らしい。
西洋医学も使いながら、代替療法にも近しい。
この本を読んで、もっと知りたくなって神田橋先生の著書をガサッと買ってしまった。
考え方がとてもワクワクする。

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直接引用箇所;「 」
ちょっとまとめた引用箇所;囲み


”発達障害”という特定の内容について絞られて書いてあるけれども、
言葉を置き換えると子育てだったり生き方に繋がる。


花風社社長の浅見さんが序文で書かれた、神田橋先生が提唱していること。

1 発達障害者は発達する。
2 二次障害は治せる。
3 誤った治療による三次障害を阻止しなくてはならない。
4 治療なき診断はただの粗探し。
5 治療者の状態を少しでもよくするのが治療者の義務。
6 当事者や家族が自分で、安価に、自宅でできる療育・養生のコツを考案するのも治療者の仕事。


そこから先に繋がらなければ意味がないというか、ただのラベル付けになる。
よくするための診断であって、ラベルをつけることには意味がない。
どんなやり方であっても、少しでもよくなればいい。

「発達が遅れているのなら遅れているなりに成長すればいい」(p22)
知的障害の人もどんどん頭がよくなる。定型発達者とは反比例して。


少しずつでも毎日何かは変わっていく。
知的障がいを持つ青年男性でもどんどん発達していく、という話を他方でも聞いて
何かしらの適切なアクションがあれば成長する、あきらめなくていいんんだなと考えさせられる。


発達障害をどのようなものと考えているか。
「脳にシナプスの発育のおくれがあるということです。シナプスの結合ミスが起きているということらしい」
「どこがどのくらいおくれているかで色々表現形は変わってくるのでしょう。だから症状は千人千通り。しかも一般の人との間にきれいな連続性がある。」(p23)

作業療法士でもあり医学博士でもある岩永先生の話。
「もともと作業療法士は対象の方を見るときに医学診断にとらわれすぎないようにして、その人の特徴を様々な視点からとらえていく」(p25)
「同じ診断の人でもまったく違うポイントに照準を当てて指導していくことはよくあります。自閉症というからには感覚の問題がすごく目立っていても社会性の問題もあるので、プライオリティの問題なんですが、支援を考えるときにはプライオリティが高いほうにスポットを当ててやっていきます。」(p26))

「医学的診断だけでは支援の本当の役には立ちません。もっと細かくその子、その子の特性をつかまないと。」

人を見る時にどこを見るか。自分を見る時にどこを見るか。どこを伸ばせばもっと生きやすいのか。強みになるか。


診断の三種類の機能
1 行動指針
2 専門家の間の共通言語
3 患者さんに対する説明の道具
→あなたの持っている困難は、こういうことから起こっているんですよと説明するための診断
(p28ー29)

「僕はなんでも、ちょっとでもいい状態を作れば、自然治癒力が発動するんじゃないかという考え方なの。」
「脳に悪影響を及ぼしているのは姿勢なの。」
「身体にゆがみがあるから、いい姿勢を保とうとして頚椎のところが無理をしているんです。
脳幹部を苦しめている。」(p31)

人間はアタマが重い→頭でバランスとるのがいちばんとりやすい→ゆがむ。
土台になるかかとを動かす(靭帯に衝撃を与える)
ゆがんでる身体はゆがみを維持するため緊張している。
そこにショックを与えてそこが緩まないと動かしてもゆがみが動かない。
姿勢に問題があると血流が悪くなる。
そして身体の左右差があると脳の部位の疲労回復が落ちる。
コンディションを整えると長い目でよくなっていく(p32ー38)

「良ければ身体が『ああ、これはもう少ししたい』と思うもの」
「身体が思わないのに頑張ってやるのはあほです。効果ない」
(整体で)「脳幹のところに、変なプレッシャーがかからなくなるから、脳幹の自然治癒力が動き出す」
「みんなは外の環境を変えようとするでしょう。僕は身体という脳の外の環境を整えてあげれば成長の助けになるんじゃないかと、まあ祈りながらやっている」(p39)

姿勢、頚椎、足。血流。身体の左右差。
緩むと整う。脳の外の環境が整えば脳の中の環境も整う。
脳の中の環境が整えば更に脳の外の環境も整う。

ここを読んだ時、
知ったこと見てきたこと体感してきたことが全部繋がって、おおおっとなりました。
発達凸凹に限らず、だれもがみんな共通してるところなんですよね。

しんどい時にするアプローチは共通してるんです。

分かっている人は分かっているし、やる人はやっている。
知っててもやるかやらないかは大きく違う。

「自閉症児が自分の頭をぶつけたりするのは、全部フラッシュバックのようです。きっと頭の中が苦しいんですよ。自閉症の小さい子は、苦しさを説明できない。」
フラッシュバックは記憶にもう一つ別の記憶を上書きすると軽くなる。(p44ー46)
「問題行動は未熟な自己治療法」(p97)

「フラッシュバックなんでも、とにかく治しやすいところから治せばいい」
「治しやすそうなところが少しよくなると、全体の心身の能力が上がるから、また次が治しやすくなる」(p47)

焦らず治しやすいところから。
すると芋づる式に治っていく。

人間はすべての記憶をフィルムのように持っていて、
何かのきっかけでその中の黒い記憶が立ち現れるらしい。
記憶された時の些細な出来事でもスイッチになり得る。
忘れようとするほど忘れられず繰り返し立ち現れる。

黒い記憶を昇華するには、その記憶に向き合って処理することが必要。

向き合って処理すると、
原因不明だった症状も改善していったりするから興味深い。

焦らず、治しやすいところから。
全部繋がっているんだからすごいよなあ。

発達障害は治りますか? 神田橋 條治

著:神田橋 條治
¥2,420 (2024/05/19 06:20時点 | Amazon調べ)


人間脳を育てる レビュー

人間脳を育てる 灰谷孝

著:灰谷孝
¥2,200 (2024/05/09 07:12時点 | Amazon調べ)

タイトル/人間脳を育てる
著者/灰谷孝
出版社/花風社

発達凸凹と原始反射の残存の関係。
そして生きづらさの関係。

リストが有って、〇〇したから△△症と決められていくよりも、
土台がどうで、どこが繋がってないのかをみていく方がそこへアプローチできる。
同じ診断名でも人によって状況は違うのだから、
診断名なんかよりも、
どんな状態でどうすれば楽になるのかの方が必要。
名前より中身。

原始反射の残存によって起こることは、
特殊な事例に限らず、
全ての子ども・大人の発達支援に繋がる話だと思う。
助けたいならまず自分をなんとかする。
スイッチ入れたいならスイッチを知らないといけない。

これ、まさに自分。ほんとにこれだと思った。
原始反射の項を読むとあるわあるわ。
身体的アプローチしてみたら変わるかな。
やり残しをやってみたら一緒に発達できるかな。
ヒントがたくさんあるので、
突き詰めてみたら生きづらさが緩和するかもしれない。


後半は原始反射とその統合についてみっちりと書かれている。

育児書でさらーと読んだだけの原始反射について、
どのようなものなのか、残存しているとどのような状態になるのか、
何が起きるのか、対応するにはどうしたら良いのかなどが載っていてとても興味深い。

どのような呼吸をするかは身体のあちこちで関係する。
呼吸することが生きるために必要なことだから当たり前なのかもしれない。
食べなくても生きている人はいるけど呼吸してない人はいないから。
自分がずっとテーマにしてきた「肌荒れはどうやったら治るのか」というのも、
色々な解決法を探していくとどれも呼吸に結びついてきた。
アプローチは違えど、最終的に何をしているかというと呼吸を整えている、んじゃないかなと思った。

子どもは自分に必要なことを知っている。
それが好きだったりするし、自分に足りないことを自然にやりだす。
じっくり見てたら答えがそこにあるんだよね。
じゃあ、何をやってるんだろう、何に繋がるんだろう、っていうことがこの本で分かります。

人間脳を育てる 灰谷孝

著:灰谷孝
¥2,200 (2024/05/09 07:12時点 | Amazon調べ)